Les prénoms des Français:フランス人のファーストネームとカレンダー |
フランス人の名前、殊にファーストネームの多くは、聖人の名を元にしています。
この国の多くのカレンダー(カードタイプやポスタータイプの一覧は、年末年始にTABACこと煙草屋やパン屋など小規模個人経営商店等で無料配布している事が多い)には、各日に「S.〜」又は「Se.〜」と小さな文字が書き込まれています。
これらが、それぞれの日の聖人の名前。
「S.」は「Saint(サン)」、「Se.」は「Sainte(サント)」の略で、いずれも“聖〜”という意味です。
e が付いている方が女性の聖人。
現在でこそ生まれた子供に両親や家族が好きな名前を付けていますが、暫く前は、これらカレンダーに記載されている聖人の名の中から選ぶ事が法律で義務づけられていたのだそうです。
といっても、何も生まれた日に記されている名を決めねばならないわけではありません。
また、これも近頃では大分少なくなったようですが、中には日本の「じゅげむじゅげむ 〜」のように延々続くような長〜いファーストネームを持つフランス人も居ます。 例えば私の相棒。 彼は両親双方の2人の父(つまり彼にとっての両祖父)の名に加えて更に3つ、トータル5つのファーストネームを持っています。
とは言っても、毎回呼びかける度に「リュック・ポール・マルセル・アルマン・ダヴィッド(例えば、です)」などと列挙するのは面倒、カルトブルーこと銀行のカードにも全ては記載しきれないので、パスポートなどよほど正式な書類でない限りは、その中から一つを選んで名字と合わせて「氏名」として通す事が許されています。
しかし略してはならないファーストネームもあります。
Jean-Francois(Cセディーユは略しています)やAnne-Sophieなどのように、ハイフンで繋げたワンセットの名前。 つまり、例えば前者は「Jean」でも「Francois」でもなく、その両方を発音又は記載してこそその人の名前となるのです。 もっとも、「J.-Francois」のように略して記載される場合もあるのですが。
フランスといっても、六角形のヨーロッパに位置する土地だけではありません。 アフリカなどに位置するフランス領のいくつかの国でも同じ。
今は昔の話ですが、フランス語に馴染みの無かったそれらの国では「カレンダーに記載されているのだから」と意味も分からず「Fete Nationale:国民の祝日」なるものを娘や息子に名付けた人も居たのだとか。
受け付ける方も疑問を抱かなかったというのは何とも不可解な気はしますが、この名は現在も「Fet.nate」などと略して、六角形に住むフランス人がアフリカ系の人を冷やかす際に使ったりします。(必ずしも意地悪な意味ではありません:あちらの人には失礼しちゃう話かもしれませんが、そう名付けられた人がいたのは事実です)
こうした数々の聖人の名を、1〜6月分と7〜12月分に分けて一覧表を作成しましたのでご参照下さい。
なお、聖人の名はカレンダーによってはスペースの関係上1つしか記載されていない事がありますが、日によっては複数の聖人の日の場合があります。 つまり、名前のチョイスは365以上あるということ。
厳密にトータルいくつの名があるのか私は把握していませんが、フランス人にとって、自分の誕生日以外に“自分の名と同じ聖人の日”に、パーティーを開く程ではなくともお花やカードを贈る等、ささやかに祝う習慣もあります。
時には手持ちのカレンダーの“自分の聖人の日”に名が記されていないとむくれる人も居たりして・・・
ちなみに、フランスでは毎年11月1日は「TOUSSAINT:トゥーッサン」という祝日です。
これは、文字からも想像できるように“全ての聖人を祝う日”。 日本のお盆のようなもので、お墓参りをするのが古くからの習慣となっています。
今日ではヴァカンスを一挙にまとめて取る事なく少しずつ連休や週末を繋げてまばらに取る人が増えており、この時期は復活祭と並んでフランス人が大移動する頃。 皆こぞって両親宅へと車のハンドルを握り、ことにここ数年は交通事故数が鰻登りだったため、悲しくも「死の連休」などと皮肉と注意の訴えを込めて呼ばれる事があります。