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スペルト小麦/スペルト小麦粉

イネ科:一年草  学名:Triticum speltum

仏名:épeautre(エポートル)
英名:spelt(スペルト)、伊名:farro(ファッロ)


【概要】
  • ヨーロッパの穀類栽培史上、恐らく最も古くから栽培されてきた麦と言われる品種。
    19世紀迄は栽培が続いていたが、現在最もよく見られる軟質小麦を筆頭に、硬質小麦、大麦等に比べて遥かに生産性が低いため、栽培はそれらに取って代えられ、殆ど市場で見かけることがなくなったのだが、近年改めて注目を浴びて、栽培が復活しつつある。

  • 栄養価は小麦に近いと言われるが、軟質小麦に比べ、グルテンが少なく、プロテイン(タンパク質)、ミネラル、マグネシウム、鉄分等の含有量は、小麦に勝る と言われる。

  • 麦粒を個々に包む殻(米で言う籾殻=もみがら に当たるもの)が、麦に比べて外れにくく、脱穀が難しいこと、栽培量と共に生産性の低さから、麦に比べると価格ははるかに上回る。
    写真は、粒状のものが500g入りで1.40〜3ユーロ程、粉は1kgで5ユーロ弱(いずれも2006年7月時点、トゥール市内のBIO-Coopにて)、最も一般的な軟質小麦の2.5〜3倍程。

【主な用途】

  • 、粒状のもの(販売されているものは、一番外側の食用にならない殻は除いてある)の主な用途は、米や豆のように、数時間から半日程水に浸して吸水させた後、3倍程の水から加熱し、沸騰したら火を弱めて小一時間かけて柔らかく煮て用いる。
    ミネストローネのようなスープの具、リゾットのようにスープストックや野菜と共に煮込んだり、乾煎りした後に柔らかく煮て蕎麦のカーシャのように用いることも出来る。
    また、柔らかく煮た麦粒を冷まし、刻み野菜とヴィネグレット(ドレッシング)等で和えて、シリアルのサラダにも向く。

  • 粉(右の写真)は、パンやビスケット等の焼き菓子の他にも、パスタの材料にもなり、このスペルト小麦粉を使った乾燥パスタも市販されている。

【TOMATOより】
  • 粒状、粉末共に、他で見かけない穀物の品揃え良いBIO-Coopにて購入。
    フランスでは、「ローマ人が、ゴロワ人が食べていた古代麦」というような表現を売り込み文句にしているのを見かけますが、実は、上記の通り割りと最近まで栽培されていた穀物の一つです。

    フランスでは、「le grand épeautre:ル・グランテポートル(直訳:大スペルト)」と「le petit épeautre:ル・プティッテポートル(同:小スペルト)」と呼び分けられる2種類のスペルト麦があり、麦粒は文字通り。 大と呼ばれる方が写真で、小麦よりも長くやや先端が尖った大麦やカラス麦似。
    小と呼ばれるものは、粒がやや平たく、メロンの種のような形をしています。
    どちらも粒のまま上記のように、或いは粉にして、同じように利用できます。 最も一般的なのは前者の大スペルト。

  • グルテンが少ないので、我が家ではショートブレッドタイプのクッキー(右の写真:「デザート・おやつ」のビスケット類にレシピあり)をよく作ります。
    その他、サブレクッキー(普通の小麦粉とそば粉のレシピあり)や、キッシュのような塩味のタルト用の生地作りに、普通の軟質小麦粉の一部をこのスペルト小麦粉に置き換えて、ミックスして作ることもあります。
    素朴な風味で、特に強い癖もないので、初めて使う場合は、いつものお菓子やパンのごく一部をこの粉に置き換えて、様子をみながら、味見してから、少し量を増やしてみる、といった調整をすると良いですよ。
    グルテンが少ない分、特に生地を練って粘りを出す必要のあるパンにいきなりたっぷり使おうとすると、苦労するのではないかと思います。
    近々、この粉でパスタ作りにもトライしてみるつもりです。



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