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フランスの小麦粉

仏名:Farine de blé(ファリーヌ・ドゥ・ブレ)
Farine de froment(ファリーヌ・ドゥ・フロモン)


日本で小麦粉というと「薄力粉」「中力粉」「強力粉」「全粒粉」というのが一般的ですが、フランスの小麦粉は分類方法が違います。
パン作りには、お菓子作りには、一体どの粉を使えば良いのか?
という質問が頻繁に寄せられるので、フランスの粉について少し解説を加える事にしました。
厳密には日仏ピッタリ対比できないのですが、小麦粉の選択の助けになれば幸いです。

以下は大分簡略化した説明ですので、分からない事があったらゲストブックかメールにてお知らせ下さいませ。
また、他に何か思い付いたら書き加えます。

小麦を元にした主たる粉の分類
TYPEと俗称灰分麦1粒中
使用%
日本の粉だと
(だいたい)
主たる用途
TYPE 45
farine blanche
0.50%70% 薄力粉 どちらかというとこねない生地のお菓子、クグロフ、折りパイ生地など
TYPE 55
farine blanche
0.50-0.60%75% 中力粉 お菓子、菓子パン、バゲット(フランスパン)、ブリオッシュなどのパン、ブリゼ(タルト)、折りパイ生地、ビスケットetc. うどん、ピザ生地もこれでOK
TYPE 650.62-0.75%80% 準強力粉

強力粉
パン
ピザ生地(TYPE55でも大丈夫)
ドゥミ・コンプレット(110使用)
パン・コンプレ(150使用)
その他、他の粉と合わせるなどして様々に利用

タイプ数が上がるにつれ、TYPE45のような純度が下がるため、粉は薄茶又はグレーっぽくなって行きます
TYPE 800.75-0.90%85%
TYPE 1101.00-1.20%90% 全粒粉よりやや白め
TYPE 150
farine complète
1.40%95% 全粒粉


↑ 働くパン職人
聖オノレのパン祭り
他にも、アメリカでよく見かけるような用途別に既に色々と配合された小麦粉製品となるとかなりの種類に登ります。 あまりそうした既製品は買わないので使った手応えなどは分かりませんが、スーパーマーケットではクレープ、ピザ生地、マフィン(に似た小さなお菓子)、チョコレートケーキ、ブラウニー、レモンケーキミックス等々様々。
結構お手軽なのは、既にベーキングパウダー(Levure chimique)を配合した「Farine a gateaux:ファリーヌ・ア・ガトー」。 明らかにベーキングパウダーを加えるお菓子に利用する場合にはこれを使うのも場合によっては便利、TYPE45と55の両方があるようです。

近年パン焼き機(炊飯器のようなスタイルで、種を仕込むとパンになって出て来る)がささやかなブームで、パン用の粉ミックスもいくつかスーパーマーケットに並んでいます。
私は全粒粉パン「Pain complet」ミックスを買ってみたのですが、手応えは今ひとつ。 BIO-Coopで色々な粉を買って来て自分で混ぜた方が美味しかったです(2006年半ば追記)。

また、TYPE45、55に関してはフランス人の中には全く同じように利用する人も結構居て、我が家では殆ど55をオールマイティに利用しています。 フーガッスや、ちょっとした素朴なバゲット風パンを作る時も、ピザ生地も、ケーキ類もタルト生地もクッキー、ビスケットの類、うどんやそば打ち(蕎麦の場合はメインはそば粉ですが)にも、問題無く使えます。

日本の粉でもわざわざうどん粉や中力粉など用意しなくても、お菓子作りの場合は薄力粉と強力粉を混ぜる事によって、勿論厳密には異なるものの中間の粉の代用にできます。
小麦粉の質も味も日仏では大分異なるのですが、フランス国内でも実は粉には色々。 厳しい基準はあれど、その合間を縫ってより安く大量に販売しようという業者がどうしても居るからです。
こだわるのであれば、専門業者さんに直接買付に行くか、もしくは近頃増えているなにがしかのこだわりのお店などを覗いてみると良いですよ。

強力粉はお菓子には使えないと思っている方が多いようですが、実はそんな事はありません。 薄力粉よりもサックリ仕上がるので、上手に取り入れると薄力粉よりも嬉しい仕上がりを得られる事もあります。
ただし、強力粉を使う場合の注意点は、ふんわり仕上げるものならば混ぜる際に決して時間をかけない事。 のんびりとコネコネしていると、グルテンが働きだして膨らみを妨げてしまうからです。

その他、フランスの本やサイトなどのレシピに粉の種類が指定されていれば上記にこだわらずレシピに従って下さい。 上の表はあくまでも「目安」です。 日仏の小麦粉の分類規定が異なるため、それぞれの番号と日本の名称はピッタリとは一致しません。

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