マダムTOMATOの“グルメ・ガーデン”
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365のチーズ


Brebis du Lochoise ブルビ・デュ・ロショワ

  
AOC:なし
タイプ:軟質カビタイプ、楕円及び小シリンダー型
熟成期間:2〜3週間
重量:楕円は160g程、小型は120g程
サイズ
 楕円:長さ11cm、高さ3cm、幅5cm程
 シリンダー:直径6cm、高さ3cm程
主生産地:Centre地方Loche(ロッシュ)近郊
MG:45%

Chinonシノン、Saumurソミュール、Bourgueilブルグイユなど、
チーズと同じロワールの赤ワイン

クーロンヌ・ロショワーズと同じ、フランス中部Centre地方ロッシュ(Loche)近郊で作られる小型チーズ。 クーロンヌ〜がそうであるように山羊チーズが主流のこの土地では珍しい羊乳製(=ブルビ:Brebis)。

同じ名でよく似た質感で形の異なる2種類がある。 写真のものは楕円形、もう一つはこの半分ほどの小さく丈の高いクロタンのような形(小シリンダー型)。
前者(写真)は羊乳に、ハーブ(タイム)の香りを移してからチーズにするため、見た目には現れないが生地からはタイムの香りが感じられる。
後者は香りを添えないシンプルなもの(ナテュール)。

外皮はとても薄く、僅かに湿り気を帯びており生地との境目は明確ではない。 やや濃いクリーム色で、薄く毛足の長くなる白カビが広がり、部分的にモスグリーンのカビが出てきて、これは状態によってはもっと広がる場合もある。
生地は型詰めの際に一切圧縮せず、凝乳をそれ自体の重さで自然に脱水するためキメ細やかでしっとり、とても柔らかで、ペライユ(又はペライユ・ドゥ・ブルビ)に似て、熟成が進むと外皮近くからクリームのようにとろけるようになってくる。

上記の通り、写真のものは製造過程で羊乳にタイムを加えて加熱し、ハーブの香りをミルクに移してから濾して作るため、生地を口に含むと爽やかな芳香が広がる。 強すぎず弱すぎず、程良い香りは、コルシカ島のサリエットやローズマリーをまぶして熟成させるブラン・ダムールやフルール・デュ・マキのようなセミハードタイプとはまた異なる風味。

この他に、製造地区外で販売されることは希だが、熟成させない(凝乳を水切りしただけの)フレッシュタイプのブルビ・デュ・ロショワもある。 コルシカ島のフレッシュ・ブルッチウと同じ様なもので、ミルクのコクと甘味があって、デザートやお料理に活躍。

食後のチーズプレート向き。 
羊乳のコクは個性あるパンにも合いますが、こちらは熟成期間の短いソフト生地。 繊細な風味とタイムの香りを楽しむには、バゲットやパン・ドゥ・カンパーニュ(田舎パン)といったクセの強くないパンが合います。
シンプルなグリーンサラダを添えて、チーズをパンに乗せるか、柔らかいのでナイフでそっと押しつけるように塗って味わっても良いですよ。 歯ごたえが欲しければ、薄いきつね色にトーストしたパンのスライスでも良さそう。



TOMATOより:トゥールからは車で一時間弱のロッシュは、かの有名なジャンヌ・ダルクも立ち寄ったことのみならず、ドンジョンと呼ばれる10世紀の城(今は木製だった屋根や床は朽ち、石造りの四角い塔とそれを囲む要壁が残る)と、その後建設された別な城や塔と共に更に要壁に囲まれた見所・語るべき歴史たっぷりの町。
そこを含み、私の住むトゥール:Toursを中心とするトゥーレーヌ:トゥーレーヌ地方はひたすら山羊チーズの土地なので、とりわけ羊乳チーズはとても珍しいです。
山羊の土地に住みながら、羊乳ファンの私としてはとても嬉しい一品。 しかもなんとその味わいの深いこと・・・ 羊乳チーズの入門に軟質を選びたい方には断然、でも、驚くほどのまろやかさと一風変わった風味はチーズ上級者にもオススメです。
トゥール市内のマルシェのチーズ屋さんで1個4ユーロ(2003年5月末現在)。
2003年5月30日







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