マダムTOMATOの“グルメ・ガーデン”
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365のチーズ


Brie de Meaux ブリー・ドゥ・モー

  
AOC:1980年8月18日
軟質熟成白カビタイプ 大きな円盤型
熟成期間:最低4週間
重量:約2.6kg
サイズ:直径35〜37cm、厚さ約2,5cm
主生産地:イル・ドゥ・フランス
MG:45%

フルーティなBourgogne, Charnus、コクのあるBordeauxなどの赤ワイン

伝統的なフランスの白カビチーズの代表格は、フランス人にとってはカマンベールよりもむしろブリー・ドゥ・モーのようで、知らない人は居ないであろうと思われる程どこのチーズ屋、チーズコーナーにも見かける、直径の大きな白カビチーズです。
「ブリー」の名が付くチーズは他にも色々、例えばムーラン村で作られるブリー・ドゥ・ムーラン、山羊乳製のブリー・ドゥ・シェーヴル(知名度は低い)、工場生産のブリー等々あるものの、ブリー・ドゥ・モーはAOCを取得し、限られた土地パリ近郊のイル・ドゥ・フランスを中心とする規定の地区で定められた伝統の製法を守って作られたもののみが本物のブリー・ドゥ・モーとして認められます。

その製造の歴史は古く、中世には既に知られており、かつてのフランス王アンリ4世は朝食にこのブリーをパンに塗って食べていたのだとか。 その他様々な歴史的人物が、わざわざこのブリーを取り寄せたり、人に贈らせたりと人気だったそう。
主要人物が最も集まる首都パリのすぐ近くで、そこへ卸す事に時間的苦労が無かった事も手伝って、知名度は急速にアップしたようです。

原料は牛生全乳。 凝乳酵素を加えて凝乳を得、それをペル・ア・ブリー:Pelle a Brie(ブリー用シャベル)を使って全て手作業で型詰めし、圧縮せず自然脱水します。 乾燥塩をまぶして塩味を付けてから、主生産地の製造者及びその近郊の熟成業者によって熟成させます。 熟成期間に幾度も、手作業で上下をひっくり返します。

表皮は1ミリかそれ以上の白カビに覆われしっかりしており、濃いクリーム色からオレンジのまだらが見られます。
熟成が若いうちは中心がまだ白くて固く、皮近くのみがとろりとしています。 販売の際にも規定があり、少なくとも生地の半分は柔らかく熟している事が販売の条件。
よく熟したものを常温に2〜3時間も置いておくと、切り口から生地がとろりとはみ出してきます。
塩味はほどほど、同じ「ブリー」の名が付けられているブリー・ドゥ・ムーランは骨太と表現したい程、モーのブリーよりも風味が強いので、色々試してみるのも良いですよ。

程よい熟成

もう少し長めの熟成


この他、「Brie Vieux:ブリー・ヴュー(古い/年老いたブリー)」と呼ばれる、3〜4年熟成は、Brie Vieuxのページに記載。

TOMATOより:
私はチーズに関して、味わう以外は何ら予備知識も無かった子供時代、ブリー・ドゥ・モーは「絶対に牛乳チーズに違いない」と決め込んでいました。 何故って? 「“モー”さんのブリー」と理解していたから。
どうも何かが違うらしいと気付いたのはを20代にさしかかろうとする頃で、それまで一度たりとも自説を疑った事が無かったなんて・・・ しかし本当の名の由来を知った時にはちょっとがっかりしたものでした。
それはともかく、直径の割に最も薄いチーズでしょう、大きなブリーと小さなブリーとあり、チーズ専門店以外では、今では小さい方が一般的になりつつあるようです。 柔らかいチーズなので、あまり大きいと扱いにくいためなのでしょう。 いずれも同様に美味しいです。

なお、パリ郊外のモーという地区はさぞかし豊かな牧草地が広がりのどかな所なのだろうと思っていたら、実はイスラム系移民が多く居住する低家賃住宅が増え、今では悲しいかな治安の悪さも知られています。
2002年11月8日






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