マダムTOMATOの“グルメ・ガーデン”
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365のチーズ


Chabichou du Poitou シャビシュー・デュ・ポワトゥー

  
AOC:1990年6月29日
タイプ:軟質カビタイプ、小さなシリンダー型
熟成期間:最短10日、大抵は2週間以上
重量:120g前後(熟成開始間もなくは150g程)
サイズ:直径約5〜6cm、高さ約6cm程
主生産地:ポワトゥー地方(オート・ポワトゥー)
MG:45%

サンセール:Sancerre(白)、軽めの赤でも
Loire:ロワールやCher:シェール川沿いで作られる各種ワイン

フランス中部、殊にトゥールにゆかり深い17世紀の文豪フランソワ・ラブレが「フランス一美味しいチーズ」と称したなどという説のある、Charente-Poitou:シャロントゥ・ポワトゥー地方産の小型山羊乳チーズ。
名称に含まれる「Chabi:シャビ」とはアラブの言葉で「山羊」という意味を持ち、今やすっかりフランスに定着し、山羊のことは「Chevre:シェーヴル」と呼びますが、ちょっとチーズを知る人ならシャビ又はシャビ〜(なんたら)と聞けば山羊チーズを連想できる程。 これはサラセン人がこのチーズの産地であるポワトゥー地方侵略敗退した紀元732年以降、ムーア人がこの地方に残り山羊の飼育を始めたことから山羊の飼育が定着し、今日ではこの地方産の数々の山羊乳チーズが成功を収めています。
よく似た小型山羊チーズに「Chabis:シャビ」と呼ばれるものもあります。 これは別のチーズか、もしくはシャビシューのニックネーム。 いずれも同じ辺りで作られています。

シャビシュー・デュ・ポワトゥー又はシャビシューは色々な顔があり、写真のものは大分グレーのカビが広がっていますが、クリーム色から白のカビに覆われたものをよく見かけます。
原料はフレッシュな山羊全乳、カビに覆われた外皮は薄く柔らかく、きめ細かく白から極淡いクリーム色がかった生地は密でしなやかさがあるものの、割ともろく、熟成が進むと締まって少し固くなります。

シェーヴル独特の風味があるものの、噛みついてくるような強烈さは無くデリケート。 口に含むとクリーミーに感じられることもある、繊細な風味を持ちます。
もっともこれは熟成期間が2週間程度のもので、1ヶ月近くにもなると少しピリリとした山羊乳独特のやや強い風味が出てきます。 程々に柔らかいものが欲しい時は、外皮が乾いておらず、押すと軽い弾力があるようなものを選びましょう。
食後のチーズプレート向き。 丈が高いので立体感ある演出ができますよ。


TOMATOより:写真右後ろにあるのは「Crottin de Chavignole:クロタン・ドゥ・シャヴィニョール」。
どちらも知り合いのチーズ屋さん(お抱え熟成職人付き)で、プロモーション用の写真撮影と試食会の後に頂いて来たもの。
この類はカビカビに熟成させる傾向にある彼等のチーズ、乾燥はしていないものの外皮はふんわりとも表現できそうなビロードのようなカビに包まれており、口に含むとカビに呑まれるかと思う程。 でもその分生地はしっかり守られていて、この程度の熟成ではまだしっとりぽっくり、カビを打ち消すようにシェーヴルの豊かな芳香が口いっぱいに広がります。
しかしこのカビ、繁殖力が強いのか、残った1/4を吸湿しない紙で包んで冷蔵庫の扉部分に3〜4日程放置しておいたら、切り口もあらかた薄いカビに覆われていました。 勿論そのまま食べてしまいました・・・

2003年7月31日







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