マダムTOMATOの“グルメ・ガーデン”
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365のチーズ


Chevreton des Aravis シュヴルトン・デザラヴィ

  
AOC:2002年5月2日
タイプ:非加熱プレス・軟質ウォッシュタイプ
形状:円盤型
熟成期間:3週間〜
重量:約250〜350g
サイズ:直径約9〜12cm、高さ約3〜4.5cm
主生産地:ローヌ・アルプ圏オート・サヴォワ地方
MG:45%

チーズと同じ産地、サヴォワのワイン(赤でも白でもお好みで)

ルブロション(牛乳製のウォッシュタイプチーズ)によく似た製法で3世紀ほど前から作られている、同じサヴォワ地方産。 AOC取得は2002年5月と、AOCファミリーの中では最も新しい山羊生全乳製チーズ。
塩水で洗ってできる外皮は薄くやや湿り気を帯びていてオレンジ色、その表面に粉を散らしたような極薄い白カビが見られます。 この白カビは熟成期間や状態によって上の写真よりももっと広がっていたり、もっと少ない場合もあります。 外皮は食べてしまっても差し支えありません。 ただ、結晶化したミルクなのかちょっとシャリッとした食感があります。
製造過程でカゼインと呼ばれる製造元番号などを記した鑑札が貼り付けられているので、賞味する際は取り除きましょう。
生地質は弾力があり、2〜3ミリほどの気泡がまばらにあります。

2002年の情報によると製造はフェルミエ(酪農家)40軒、熟成業者5軒、年間生産量およそ100t。 全て手作り。 写真はフェルミエ製、トゥール市内のマルシェのチーズ屋さんにて購入。
山羊のミルクを集め、凝乳にして型詰め&軽くプレス、添塩、一旦熟成庫で乾かしてから熟成期間中に外皮を洗います。 熟成期間は最低でも3週間、エピセア樅(もみの木の一種)の板の上で行われます。
なお、この熟成は同地方の殆ど同じ製法で作られるルブロションと同じカーヴ(熟成・貯蔵庫)にて、双方の熟成を手がける職人によるのだとか。

プレス生地&ウォッシュタイプ共に山羊乳にはどちらかというと珍く、とかく香りが強く仕上がりがちなウォッシュの中では風味は穏やかな方です。
また、熟成した山羊乳特有の刺激、例えばクロタン・ドゥ・シャヴィニョール(山羊乳製の小型白カビチーズ)の熟成が進んだようなもののようなピリリと舌を刺すような風味は全くなく、ほのかな甘味があります。

チーズ入門者が真っ先に飛びつくべきチーズでは無いと思いますが、「よく見かけるチーズを食べ尽くして変わったものにトライしたい」ようなチーズ愛好家には面白いかも。
山羊乳チーズ一般の季節に漏れず、賞味適正シーズンは春〜秋。


TOMATOより:外皮にはちょっと鼻を突く香りがありますが、味わい自体はマイルド。
私の好みからいくとちょっとマイルドすぎるのですが、案の定プロによるアドヴァイスは、大抵は賞味する1時間程前には冷蔵庫から出して常温にしておくというものなのですが、このチーズに関しては徹底的に常温に戻しておかないとほのかな風味を存分に堪能できないからなのでしょう、「少なくとも2時間前には常温にしておくように」との声もあります。 勿論季節によって前もって冷蔵庫から出しておくべき時間は前後するのですが、初夏の暖かな日に最低1時間は常温にしておくくらいのつもりでいましょう。 ちょっとでも冷たいままだと、外皮の香りだけ感じて味わいがないように思えてしまったりするので要注意。
ウォッシュタイプが苦手な人は、薄い外皮を外して味わっても良いですよ。
バゲットか、パン・ドゥ・カンパーニュ(田舎パン)など、個性の強すぎないパンが向きます。 セーグル(ライ麦)入りのパンやドイツの黒パンのようなそれ自体の個性があるパンをあわせるとチーズが負けてしまいます。
保存の際はチーズが包まれていた紙でくるんで、冷蔵庫に入れても構いません(上記の通り、賞味する前に常温に戻します)。 でも、なるべく早く食べきりましょう。

2003年5月22日







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