マダムTOMATOの“グルメ・ガーデン”
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365のチーズ


Crayeux de Roncq クラユー・ドゥ・ロンク

  
AOC:なし
タイプ:軟質ウォッシュタイプ、厚みある正方形
熟成期間:約3ヶ月
重量:約450g
サイズ:一辺約12cm、厚み4cm程
主生産地:オート・ノルマンディー地方
MG:45%

ワインよりもビール、それも黒ビールのような強めが合いそう
逆にシードル(リンゴの発泡酒)で爽やかに味わっても良いかも

味・香り共にかなり強いウォッシュタイプで、一通りの有名所チーズを食べ飽きたチーズ上級者向けでしょう。
ウォッシュタイプと言えば大抵、ワインかワインを作ったぶどうの絞りかす、もしくはいずれかを蒸留して作るマールと呼ばれるぶどうの蒸留酒で外皮を洗うものが多いのですが、こちらは北フランスからベルギーにかけてよく見られる「ビール」でウォッシュ。

外皮は明るい薄オレンジ色で湿り気と少し粘り気があり、ウォッシュタイプ特有の強い香りがあります。
生地はコンパクトによくまとまっていて軽くもっちりした弾力があり、ナイフを入れるとギュッと沈んでから元に戻ります。生地色は渋いオレンジがかったクリーム色から中心は淡いクリーム色、熟成期間の長さを伺わせます。
外皮の香りはワインやマールでのウォッシュよりもやや弱いのですが、こなれた塩味のある生地にはビールの苦み走った香りがしっかりと染み込み、まろやかな舌触りを楽しんでいると最後にビールの後味そっくりの苦みが口内に残ります。
さほどサイズの大きくないチーズでありながらも熟成期間が長く、好みはキッパリ分かれるであろう風味ですが、味わ馴染んだ仕上がりです。

ベルギー国境からほど近い北フランスのマリー・テレーズ(マリア・テレジア)修道院とチーズ職人フィリップ・オリヴィエ氏が、土地の人の要求に応じるべく完成させたチーズなのだそうで、北フランスでは割と人気があるらしいです。
原料は牛生乳。熟成開始直後は塩水で、途中からビールに変更して洗われます。

このチーズは風味が強いので、食後のチーズプレート(盛り合わせ)に加える場合は、その中でも最後に味わうようにしましょう。2年程の熟成物で風味強く仕上がったコンテやグリュイエールなら、これより後に味わっても大丈夫です。
チーズの個性を存分に味わうためにバゲットやパン・ドゥ・カンパーニュ(田舎パン)といったあっさりめのパンが合います。

TOMATOより:写真のものは、粘り気のある外皮に、ミルクなのか塩なのか結晶化した細かな粒が見られました。そのシャリッとした食感が大好き(古いコンテやイタリアのパルミジャーノでも楽しめる食感)で、ワクワクしながら味わっています。
しかしビールの苦みが結構後味に残るので、“渋好みのオトナ向き”なチーズです。 奈良漬けが好きでビールも大好きという人にはオススメ。 でも1個買うと多分、途中で飽きて持て余してしまうと思います。 4人分なら半分あれば充分でしょう(チーズプレート構成の場合)。

2003年5月26日







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