マダムTOMATOの“グルメ・ガーデン”
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365のチーズ


Fourme de Rochefort Montagne
フルム・ドゥ・ロシュフォール・モンターニュ

  
AOC:--
セミハードタイプ、大きな円盤型
熟成期間:1.5〜2ヶ月
重量:約6〜8kg
サイズ:直径約28〜30cm、高さ約10〜15cm
主生産地:オーヴェルニュ地方ピュィ・ドゥ・ドーム
MG:最低50%


牛生全乳を用いて、カンタルとほぼ同じ製法にて作られる中型の非加熱プレスタイプのセミハードチーズ。
産地はオーヴェルニュ地方、ブルー・ドゥ・ラクイーユ(Bleu de Laqueuille)の産地近くの“Rochefort-Montagne:ロシュフォール・モンターニュ”、チーズがその名を背負っています。 “フルム”とは、「フルム・ダンベール」「フルム・ドゥ・モンブリゾン」なども含め、円柱形を示すものです(高低差アリ)。
200年ほどの歴史を持つチーズで、18世紀末頃、産地辺りでは小作人が土地の貸借における小作料をこのチーズで納めていたのだとか。

カンタル同様、搾乳したミルクに早々にまず凝乳酵素を加えて凝乳にし、次いでその凝乳に熱湯を加えて撹拌、カンタル同様“トム・フレッシュ:Tome Fraiche”と呼ばれる真っ白な、砕いたモツァレラチーズのような状態にします。 これを丸めた後更に砕き、後に塩を加えて型詰め、重石をして24時間かけて水切りした後熟成に入ります。
そこまでの製法は同じでも、丈の高いカンタルに比べるとやや低い、10cm前後の型を使ます(10〜12cm程が主)。
製造所での熟成は最低でも3週間、その後他の熟成専門職人或いは販売店などへ卸され、市場に出るのは一般に1.5ヶ月程のもの。

熟成が進むにつれて外皮は黄色から淡い栗色になり、その上にトム・ドゥ・サヴォワなどのような濃いグレーのカビが広がります。
生地はイエローがかったアイヴォリー、刻んだ凝乳をプレスしたのが見てとれる、細かい粒の隙間のような穴が散らばり、見たところでは手で折るともろっと崩れそうな切り口。 それでも、熟成の長さにもよりますが、軽い弾力があってややもっちりとくっつく生地、若いカンタルの酸味をやや押さえて脂質をほんの少し高めたような、とてもマイルドな風味で、しっとりしたドライフルーツのような爽やかさと同時にミルクの穏やかなコクがあります。


TOMATOより:行きつけのチーズ屋さんで発見した、この辺り(トゥーレーヌ地方)では珍しいもの。
お店のマダムによればクレルモン・フェラン(Clermont-Ferrand)辺りでは“地元のチーズ”としてお馴染みなのだそうで、同町出身のお客さんが大喜びしていた上、大きなチーズの上に乗せてあったラベルにある作り手さんをよくご存知だったのだそう。
今日は状況が違っている可能性もありますが、上記チーズ屋のマダムが読み上げてくれた何年か前に出版されたフランスチーズに関する書物によれば、このチーズを作っているフェルミエ(酪農家)は2軒のみ、いずれも手作りのようです。
濃いグレーの外皮は食べてしまっても差し支えありませんが、普通は外して賞味します。
ブリーやカマンベールのように一緒に風味を楽しむのではなく外皮はチーズの生地を守る役割といったところ、穏やかな生地を堪能するには、外皮は外して味わいましょう。

2003年3月17日







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