マダムTOMATOの“グルメ・ガーデン”
http://www.franco-japonais.com/tomato/
365のチーズ


Laguiole ライオル

  
AOC:1961年12月21日
タイプ:セミ・ハードタイプ
熟成期間:4ヶ月から
重量:約40〜50kg程
サイズ:直径約40cm、高さ約35cm前後のシリンダー型
主生産地:アヴェロン、カンタル、ロゼール
MG:45%


Marcillac、Cahors、Entrayguesなどフルーティーな赤ワイン

Cantal:カンタル、Salers:サレールと共にファミリーを形成、とも言えそうなオーヴェルニュ地方及び近隣2つの地方にかけて作られている山のチーズ。
オーブラックの山標高800〜1500m程の所にある小さな村の名がそのままチーズの名になっています。 原料ミルクは山の名と同じオーブラック種の牛から採れる乳。
何かとカンタルが引き合いに出されがちで、実際作り方もサイズもほぼ同じで、生地の質感もよく似ています。
・・・というのは大抵のチーズ解説で出てくる話。
では異なる点は何なのか? 味を知らないとその辺が気になりますよね。

専門的な観点からどういった違いを述べられるのかはよく分からないままなのですが、明らかに異なるのは原料となるミルクを提供してくれる牛さん達の種類。
私なりに味わいの弱い順に並べて解説を加えると:
・カンタル:熟成が進むと風味は強くなりますが、3ヶ月の最低熟成期間を全うした若めのものをとてもよく見かけます。 ミルクの軽い酸味があって3つの中ではチーズ初心者に最も親しみやすいであろう爽やかな味わい。
・ライオル:カンタルに感じられる酸味はやや弱めですが、ミルクのえぐみというか軽い渋みがあって、カンタルよりも味・香り共にちょっとクセがある印象。 でも割とマイルド。
・サレール:酪農場製かつ夏の放牧牛のミルク使用で(夏の放牧中の牛乳を使ったチーズとそうでないチーズではおなじサレールでも味わいが違うので)更に熟成が進んだものしか買わないので他2つとの比較が難しいながら、カンタルよりも酸味はまろやか、ライオルの渋みも無いものの香り豊かで奥行きある味わい。熟成したある種の臭み(ウォッシュタイプのような鼻を突く強さではなく、円熟したチーズの外皮から放たれる香り)があります。

こうした比較にはちょっと無理があるかな。 同じ程度の熟成状態のものを選んで比べても、作り手や原料ミルクの質によってチーズの味というのは多大に変化するものなので・・・

生地の色は明るくイエローがかった麦ワラ色、大きなそぼろ状のものをギュッと固めたらしいと明らかに見て取れる小さな隙間が見られます。 これはカンタル同様、一旦凝固させたミルクをカットしてホエーを出した後に押し固め、再び細かく刻むという作業を繰り返し、モロモロとした状態のものを型に入れて固めるためです。

この「LAGUIOLE」、普通にフランス語読みしようとすると「ラギオル」になってしまいますので、フランス語の予備知識がある方は要注意。 特殊な読み方は地名から来ており、同地方で生み出された美しい柄と刃先が2分しているのが特徴的な「ライオル・ナイフ」というものがあり、今はチーズ用ナイフの一つとしてフランス中で人気です。

TOMATOより:私は3つの一見似通ったチーズの中では、サレール以外は滅多に買いません。 また、購入する時はほぼ必ず味見をしてから。 結構当たりハズレが大きいチーズという印象です。
近頃年に数回、よく行くマルシェ(曜日毎の青空市場)にオーヴェルニュからわざわざチーズ丸ごとをかついでやって来るおじさんが居まして、そこではほぼ必ず買っています。
大きな円柱形のサレールやカンタル(ライオルは無い)をまず、両端に小さな握りの付いた細い針金で真っ二つにし、それを横2つ割にしてから切り分けてくれます。

2003年5月19日







© Mme.TOMATO : "Gourmets Garden" de Mme.TOMATO
All rights reserved / Tous droits résérvés