マダムTOMATOの“グルメ・ガーデン”
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365のチーズ


Langres ラングル

  
AOC:1991年5月14日
軟質熟成ウォッシュタイプ 円柱型
熟成期間:小2週間〜、大3週間〜
重量:小150g〜、大800g〜
サイズ:小 高さ4〜6cm、直径7.5〜9cm
    大 高さ5〜7cm、直径16〜20cm
主生産地:シャンパーニュ・アルデンヌ地方
季節:1年中
MG:50%

赤ワイン全般、特にBourgogne Mercurey, Nuit-Saint-Georges, Medoc,Cote du Rhone etc.
又はシャンパーニュ、そのマール(Marc)


チーズ自体もパッケージングもエポワス:Epoisseの親戚といったところ。 写真は小さいタイプで、この2倍ほどの大きなタイプもある。
18世紀頃から知らるチーズで、名はオート・マルヌ(Haute Marne)のラングル高原にて作られる事から。チーズの名としても「Langres du platau:ラングル・ドゥ・プラトー(高原のラングル)」と示される事もある。

表皮は95%という高い湿度の貯蔵庫カーヴでの熟成初期に薄い食塩水で洗われて出来る天然表皮で、熟成後も(店頭でも)湿り気を帯びている。 色は明るめのイエローからオレンジ、更に熟成が進むと茶色がかった濃い色に変化する。

生地はアイヴォリーがかったきれいな白、又はややクリーム色かかる。 きめが細かく、熟成期間が長くなるにつれ表皮側から次第にトロリと濃いクリーム状にとろけてくる。
若めのものは表皮近くはクリーム状なものの、中心は若い山羊チーズのようにポックリとしている。

香りは熟成が進んだものはウォッシュタイプの類に漏れず特に表皮部分は強くなってくるが、上記エポワスよりはやや穏やか。 若いものは臭みの苦手な人にも食べやすい範囲。
塩分は制作者によってやや異なるものの、ポン・レヴェックのような形状は違うが同じウォッシュタイプのクリーミーなチーズに比べてやや控えめ。

製法は牛生全乳に乳酸酵素を加えて凝乳にし、それを刻むかそのままで洗浄せず練らずまた加熱せずに型詰め、およそ24時間かけて圧縮しないで自然に水(乳清)を切り、型から取り出して乾いた塩で塩分を加え、網の上に並べて乾燥させる。
その後湿度の高いカーヴにて大小それぞれの指定最低期間又はそれ以上を産地内にて熟成。 この期間、定期的に薄い食塩水で表面をこすり洗う。
表面を洗う際、赤みがかったイエローの天然色素(rocou=ロクー:バターなど他の乳製品に使われる事もあるらしい)を配合して着色する場合もある。
円柱形上部が5ミリ程くぼんでおり、これは熟成と共に更に深くなる。

原産地であるシャンパーニュ地方では昔からこのくぼみを“Fontaine:フォンテーヌ(泉という意味の仏語)”と呼び、シャンパーニュやワインなどを作る際のブドウの絞りカスから作る蒸留酒マール(Marc)を注いで食べるという。
その他、カットしたところへやはりマールを数滴垂らして風味を加えて食べるのも通なのだとか。

食後のチーズプレート向き。 でも、おやつや小腹が減った時にパンに乗せるか挟んで食べても美味しいです。


TOMATOより:臭みが強めのチーズが好きな方にはしっかり熟成がすすんだとろけるものを、チーズ初心者又は淡泊な味わい好みな方へは、まだ明るいイエローでくぼみの少ない若いタイプをそれぞれお勧めします。
フランスのチーズ屋さんでも、今はかなり若いチーズ(熟成期間が短いという意味)の方をよく見かけます。 写真のものもまだ若めで、表皮から6ミリ程度がクリーミーでまだ中心に芯が残っています。 ただ、その芯は若いカマンベールよりは柔らかめで、舌の上で柔らかくとろけます。
好きずきですが私はもっと熟成の進んだものの方がチーズの個性を感じられて好きです。 もっとも、日によってこうした若めのもが欲しい時もあるのですけれど。

2002年10月7日







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