マダムTOMATOの“グルメ・ガーデン”
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365のチーズ


Pont l'Eveque ポン・レヴェック

  
AOC:1970年8月19日
軟質熟成タイプ 厚みのある四角形
熟成期間:1ヶ月半
重量:350〜400g
サイズ:通常一辺10.5〜11.5cm、高さ3cm
小型サイズ:一辺8.5〜9.5cm
半分サイズ:1通常の半分長方形
特大サイズ:一辺19〜21cm
主生産地:ノルマンディー地方
季節:一年中
MG:45%


Bourgogne、Bordeauxの赤
ノルマンディー・オージュ地方産AOCシードル(Cidre Bruitリンゴの発泡酒)

フランス全土を見ても、ノルマンディー地方でも、最も古いチーズの一つ。
12世紀頃に“アンジュロン:Angelon”又は“アンジュロ:Angelot”と呼ばれ後に“オージュロ:Augelot”と変化。 これが前進と言われるが、ポン・レヴェックという村の名で知られるようになったのは17世紀に入ってから。
産地はノルマンディー地方5県とマイエンヌ。

製法は同地方産牛生全乳から得た凝乳をこねて脱水を促してから型詰めして更に脱水(回転機にかけるらしい)、型から取りだしてすのこの上で度々上下をひっくりかえして寝かせ、塩又は塩水で塩分を加え、最低2週間(この期間は産地内から出してはならない)の熟成期間中、表皮を洗うかハケでこすって仕上げる。

表皮は洗ったものは湿り気があり、熟成が進むとべたつきが出てくる。 ハケでこすったものはサラリと乾いており、いずれも淡いイエローから熟成の進んだ物は赤身を帯びた濃いオレンジ色に白いカビ。

生地は弾力が無くきめ細かく均一でクリーミー、色はクリーム色から黄色みの強いクリーム色。 若いうちは細かい気泡が見えるが、熟成が進むと生地がとろけてきてその気泡は殆ど見えなくなる。
良く馴染んだやや濃いめの塩味と甘味、何より洗ってできる表皮のぬか漬けに似た強い風味が特徴。 若いうちに食べてしまうのは勿体ない、しっかり熟成物を選びたい。

食後のチーズプレート向き、シンプルにバゲットに乗せて。


TOMATOより:昔ながらの匂いの強い塩味がしっかり効いたカマンベールが好きな人には文句無くオススメの一品。 美味しいです。 正にノルマンディーの古き良き味、あまりに種類が増えて、美味しいカマンベールを見付けるのが難しくなってしまった今、トロリとろけるチーズ臭さの強いノルマンディーチーズを食べたい時には私はまずこちらを探す程。 これは美味しいカマンベールを求めて両親と共にお店でケースを開いてそっと指で押して歩いた子供時代の懐かしさによるところが大きいのでしょうけれど。
特に上の写真ほどに熟成が進んで殆ど中心までとろけそうなものは、バゲット半分くらいペロリと食べてしまえるから恐ろしい・・・ このチーズはまかり間違っても冷蔵庫でキンキンに冷やして食べるなんて勿体ない。 虫よけ網をかぶせて常温に置き、お皿にくっつくほど柔らかいところをナイフですくってパンに付けるともう、それだけで最高のご馳走ですよ。
オレンジ色と白いカビのバランスと、形の崩れ具合で熟成を見分けられるようになれば、美味しいポン・レヴェックはすぐに選べます。 箱入りよりも、チーズ屋さんで熟成加減を確認して買いましょう。
上記写真はトゥール郊外の大手スーパーマーケットのチーズコーナーで見付けてきたものですが、品揃えが割と良く、ラッキーな事に正真正銘ノルマンディー生まれの若い店員さんに当たり、散々話し込んだ末プンプン匂いそうなこちらが丁度食べ頃だとお墨付きを頂いてきたもの。 スーパーマーケットのチーズコーナーなんて勿体ない博識なお嬢さんでした。

2002年9月27日







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