マダムTOMATOの“グルメ・ガーデン”
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365のチーズ


Rochebaron ロシュバロン

  
AOC:なし
軟質熟成青カビタイプ 低い円柱型
熟成期間:4週間(最大8週間)
重量:1個約600g
サイズ:直径約15cm 高さ約3cm
主生産地:オーヴェルニュ地方
MG:55%


C&ocric;te du Rhoneなど赤ワイン、シャンパーニュなどの発泡ワインでも

名はオーヴェルニュ地方の地区名より。 同地方の山の牛の殺菌乳を元に作られる、青かびタイプのチーズ。
表皮は黒い灰の粉とその上の白いカビに覆われて、白とグレーのグラデーション(写真の通り)又はまだらに白カビが広がる事もあります。
生地は脂肪分が多く、熟成が進んだものを常温にしばらく置くと、切り口から生地がトロリと出てくるほどなめらかでクリーミー。
生地中の青かびはまばらに散り、カビの色は他のブルーよりやや淡めのくすんだグリーン。 生地の中の青カビは極少量。
カビの香りも味も極薄く、一見したところ黒くて切り口にはまばらながらもカビが見えて風味が強そうだと感じる人も居るようですが、ウォッシュタイプのような鼻を突く香りも、ブルー特有の辛味もなく、若いルブロションをクリーミーにした程度の味わいで、ほのかなマッシュルームに似たカビの匂いと灰の極軽い苦みはあれど、塩味も薄くとてもとてもマイルドです。
形もサイズも生地のクリーミーさもルブロションによく似ています。 ただしルブロションは熟成中に表皮をこするのに対し、こちらは何より少ないとはいえ青かび入り、そして熟成前に塩を加えて表皮には黒い灰(草を燃して得た灰の粉)をまぶした上で白カビも加わるので、姿も風味も塩味も異なります。
似たものを探すとすれば、ドイツのやはり新しいチーズ(でもロッシュバロンよりは古い)「カンボゾラ」でしょうか。

フランスでもさほど知名度が高くない新しいチーズですが、スーパーマーケットの棚には半分に切ってプラスティックフィルムでパックにしたものが売られています。
「Montbriac:モンブリアック」というよく似たチーズがあり、どうやらほぼ同じもののようです。 ただ、こちらも詳しい事がよく分からないので、情報を得たら追記します。

玉ねぎとベーコンをバターで炒め、蒸かしてスライスしたジャガ芋と合わせて耐熱容器に入れ、上にこのチーズを横半分に切った物を、チーズの表皮を上にして乗せてオーブンで焼き、皮を取り除いて焼き色を付けたお料理(タルティフル:Tartifle)がこのチーズのお料理への使い道として代表格の扱いです。(間もなく、グルメ・ガーデンに我が家のレシピを掲載します)
1個7ユーロ程、1年中作られているものの、シーズンは主に4〜8月。

TOMATOより:
上にも書きましたが、「ブルー(青カビ)」と言っても、全くと言って良い程ブルー特有の風味も辛味(舌にピリリとする刺激)も無い極めてマイルドな味わいです。
バラエティ豊かなチーズの盛り合わせにするならば、黒い色合いは変化を付けてくれるものの、風味の点では他のブルーを加えた方が良いかも。
クセの強いチーズが好きな方には、あまりお勧めできません(箸休めには良いかも知れませんが)。
私には全く物足りなくて、これならスタンダードなルブロションの方がよっぽど美味しいと思えます。 それだけに、滅多に買わないチーズです。 工場生産ですし。
ただ、お料理に、特にグラタンにするととても美味。
Rochebaronなる同名の中世のお城があります。 チーズの名が地方名から来ているので、恐らく同じ地域にあるお城なのでしょう。 詳しいことが分かったらこちらに追記します。
いずれにせよ新しいチーズなので、マイルドなチーズを望む人以外には、フランスでもあまり評価の高くないチーズです。 かえってこうしたチーズの方が、日本では人気なのでしょう、5〜6年前の日本では全く見たことが無かったのですが、今はあちこちに置いているようです。 カンボゾラの方が日本への輸入歴は長いようですね。 よほどフランスチーズにこだわるのでなければ、カンボゾラをお勧めします。 尚、後者は灰はまぶしておらずカマンベールのような白カビに覆われています。 いずれもマイルド。

2002年11月4日







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