マダムTOMATOの“グルメ・ガーデン”
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365のチーズ


Tomme de Lozère トム・ドゥ・ロゼール

  
AOC:なし
セミハードタイプ、低い円柱型
熟成期間:約1.5ヶ月
重量:約kg
サイズ:直径約18cm、高さ7.5cm
主生産地:
MG:45%


Beaujolaisなど、フルーティーな赤ワイン

「トム」と呼ばれるチーズはもの凄く沢山あり、そんな数あるトムの一つ、ラングドック・ルシヨン地方のロゼール県で作られるものです。
原料は牛乳、製法は、発酵種に続いて凝乳酵素を添加して凝乳にしたところで、それを細かく刻みます。 こうして出来た凝乳の生地の水気を切ってから型詰め、プレスしておよそ20時間かけて水(乳清)切りします。
1夜明け水切りが済んだらおよそ2%の添塩、さらに翌日から熟成が始まります。
湿度が高く温度は10℃程のカーヴに用意した板の上にチーズを並べ、定期的に上下をひっくり返すと同時に外皮のカビをなでつけるようにこすります。
こうして熟成させること1ヶ月強で市場に出てきます。

上記の通り「トム」と言っても様々あり、同じロゼール県で作られるトムと言えども、実は作り手や熟成具合によって風味は異なるものですので一概には言えませんが・・・ 写真のものはマイルドな味わい。
外皮は濃いグレーでやや固いものの極端に厚くはなく0.5mm程、型詰めの際に生地を敷き込むらしく、よく見るとキャンバス地のような跡が残っています。
生地はアイヴォリーがかったような冷めたクリーム色で、刻んだ凝乳を押し固めた際に出来た潰れた気泡があちこちに見られます。
外皮近くは軽いカビ臭があるものの、しっとりとして軽い弾力のある生地はとてもしなやかで、切り口が大きな気泡に当たるとそこからポロリと折れることもあります。
味わいは、口に含むととろけそうでとろけず、それでいてどこかクリーミーな印象。 これは恐らく脂質が高いためなのでしょう。 酸味は殆ど感じられず極々僅かにミルクの苦み、それでも甘味の方が上回り、トムを初めて食べる人には、有名所のトム・ドゥ・サヴォワよりも味わいやすいことでしょう。

バターを作った残りのミルクで作るトム、はたまた山羊や羊乳のトムもあり、このトム・ドゥ・ロゼールは牛乳製ですが、MG(脂肪分)30%、45%、50%など、同じロゼールで作られるトムと一口に言っても様々。 ややこしいのですが・・・


TOMATOより:Tomme de Savoieトム・ドゥ・サヴォワは数あるトムの中でも代表格ですが、ロゼールの名を持つものはどこにでも置いているわけではありません。 今回のこちらも行きつけのチーズ屋さんで発見。
私はあまりトムはじめサン・ネクテールなど、グレーのカビにモチッとした生地の類は好んで選ばないのですが、相棒のおねだりに折れて買ってきたもの。 内心渋々注文したのに、現金な事に帰宅してつまんでみたら案外美味しいことが分かって、来週また買いに行こう と思ったのでした。
極めてマイルドな味わいですが、さすがに上質なチーズを選りすぐって集めるチーズ屋さんだけに、深いコクがあってそのまま味わうのは勿論、ソテーしたジャガ芋に加えてタルティフレット風にしても美味でした。 ただ、タルティフレットにするにはカンタルのようにもう少し酸味があった方が私好みかな。
写真のものは割と万人受けしそうなマイルドさと甘味があるので、キューブに切ってアペリティフのお供にもピッタリ。 ただ、同じ様な名でも作り手によって・熟成具合によって、仕上がりが微妙ながらも様々に異なるものなので、気に入るトムを見付けるのが大変かもしれません。

2003年12月5日







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