サンザシ(山査子)

バラ科:落葉低木
学名:Crataegus species etc.(他数種アリ)
仏名:Aubépine(オーベピン)
仏俗名:Epine blanche, Epine de mai,
   Noble Epine, Valériane du coeur etc.
英名:Howthorn(ホーソーン)
   May Blossom, Whitethorn etc.
【概要】
  • 利用部位:つぼみ、花、果実(偽果)、若い枝の皮、葉。
    家庭で簡単に利用できるハーブではありませんが・・・ 庭木、垣根などに日本でもヨーロッパでも植えられている事が多々あります。
    漢方薬のみならず、ヨーロッパでも薬用利用されており、心機能改善(高・低血圧の調整、心拍を整える、血流を良くする、不整脈改善等)薬として古くから知られています。
    民間利用としては乱用を避けて下さい。(下記参照)
    晩春(5月頃)に房状に沢山の花を付けるため、英語の“May Blossom”という名が付いたのでしょう。 ほのかに甘味ある香りです。
    果実は9月頃に鮮やかな赤に熟し、種類によって1〜3個のふっくらとした細長い種が入っています。 実の形も種類によって卵形からほぼ真ん丸と微妙な違いがありますが、薬効はいずれも似たり寄ったりとされています。

    生の実は食べても差し支えありませんが、ポソポソとしていて僅かにリンゴに似た香りがある他は大した味も無く美味しいものではありません。
    花も実も乾燥させて薬用利用されます。 中国だったと思いますが、この実を砂糖煮にして固めたらしいジェリーのようなドライフルーツ(半ばお菓子、半ばお薬?:下の写真)があります。


【栽培・採集時期と保存】
  • 種から育てるのではとてもとても時間がかかりすぎるので、お庭に植えたり垣根にする場合は苗木を買ってきましょう。
    5枚花弁の白又は淡いピンクの他、希に八重咲きの濃いピンクもあり、葉も種類によって切れ込みが浅かったり深かったり、葉先が丸みを帯びたものと尖ったものなど微妙に違いがあります。
    まばらながらも鋭いトゲがあるので、枝を扱う時には注意しましょう。
    普通の土壌ならば放っておいても逞しく育ち、4〜5m程に丈が高くなります。 この辺り(フランス中部)にはそこら中に自生している他、民家の垣根にもよく見かけ、適当にせん定すると細かい枝を沢山付けてくれて目隠しになるため垣根によく利用されるのでしょう。 もうちょっと丁寧に育てたい場合は専門書をご覧頂く事をお勧めします。
    ヨーロッパの種の中には、落葉低木でありながら樹齢500年という長寿にもなり得る上、盆栽にもできるらしいです。
↑ サンザシの花

【利用方法】
  • フランスでは、花(咲き始めの主につぼみ)を干してハーブティーとして(5gを250 ccの熱湯に15分浸す)朝夕1日2杯飲む といった程度の使い方が民間利用に勧められています。 つまり、それ以上の摂取は控えておいた方が良いということのようです。 また、薬用効果があるため、誤った使用や大量摂取は危険を伴う恐れもあるという意味なのでしょう。
    しかし、実際には実のアルコール漬を梅酒感覚で作る人も居るので、薬効の強度の方は残念ながら私には計り知れません。 ご利用はほどほどに。
    お肉やお魚を煮る際に、サンザシの赤い実をいくつか入れておくと、お魚の骨まで柔らかくしてくれる作用があるのだとか。
    ドライフルーツのようなジェリーのようなお菓子(のようなもの)は、以前時々横浜の中華街で買っていました。 ヨーロッパのパティスリーに比べるとちょっぴりボケた味なものの、素朴な甘酸っぱさがあって美味しいですよ。




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