イタドリ

タデ科:多年草
学名:Reynoutria cuspidatum/japonica
仏名:Renoué du Japon(ルヌゥエ・デュ・ジャポン)
英名:Japanese knotweed(ジャパニーズ・ノートウッド)/Fleece flower
日俗名:スカンポ

【概要】
  • 利用部位:春の若芽の茎、漢方では根と葉

  • 原産は東〜北アジア、日本の線路や河川、道路沿いにもよく見られます。
    フランスには17世紀(1827年)、観賞及び食用に日本から持ち込まれた物が繁殖し、今ではすっかり自然界に適合していてあちこちに見かけます。 ただし現在も知名度は高くなく、植物・薬草図鑑などにも出てこない事の方が多いです。 仏語名を見付けるのに苦労しました。 こちらでは、その繁殖力の強さから生態系を脅かすとして雑草どころか「悪い草」扱いで、せっせと刈り込む事があるものの、食用に出来るとは殆ど知られていません。

  • 春、赤味を帯びた太く柔らかい新芽を出し、その茎を食用にします。 茎は空洞になっており、若葉の付け根部分が竹のような節になっています。

  • 生の茎は青リンゴに似、全草に酸味があり、ヨーロッパでジャムやコンポート、タルトなどによく利用されるルバーブ(食材ガイドに解説アリ)に似た味わいで、それよりも柔らかく水分が多いものの、似たような使い方ができます。
    ただ、全草にお腹を緩くする効果があり、人によっては食用にすると軽い下痢症状を起こす事があるのでお腹の弱い人は避けた方が良いです。 逆に言えば、便秘がちな人には良いですね。 繊維質にも富んでいます。

  • 新芽の成長は早く、夏を迎える頃には1〜3m程まで成長し、葉は丸みを帯びやや細長く、先端が尖っています。 色は濃い緑又はやや淡い緑。 夏の盛りにはクリーム色の5〜8cm程の枝別れした小枝状の小さな花の集まりを枝の途中の葉の付け根に、上向きに数本まとめて付けます。 真ん中の写真。

  • 地方によっては「スカンポ」、「スイバ」と呼ばれる事もあるようです。 いずれも“酸っぱい”ことから来た名らしく、他にも同じ呼び名で呼ばれるスイバ(英名:ソレル、仏名:オゼイユ、こちらも強い酸味あり)、ギシギシ(前者によく似た、もう少し丈が高く葉も大きい雑草の一種)等あるので、間違えないようにご注意を。 イタドリはそれら同名又は類似名(俗称)の他の野草の中でも最も草丈が大きいものです。

 
↑ 花
 
↑ 食べごろのイタドリ

【採集時期と保存】
  • 線路沿い、川沿いの土手、雑木林の縁、道沿い、陽当たりの良い湿度ある土地、山中などに自生し、根茎で増えるためまとまって生え、群生地を見付ければ採集は簡単です。
    ただ、道ばたや開発された民家近くに生えるものはとても細くてあまり食べる部分が無いので、茎の直径が1.5cm以上の物を選びましょう。
    根茎を保護し、完全に摘み取ってしまわなければ、その株は10年以上毎年芽を出し続けるそうです。
    手でポキンと折れる柔らかい春の若芽(一番上の写真の状態)を採集します。 育つ地質や気候、陽当たりなどにより、50cmから大きい物は1m程に伸びた若芽でも柔らかい場合があります。 手で簡単にポキッと折れて、茎が柔らかであれば食べられます。

  • 若芽の生は早々に調理した方が良いです。 どうしてもすぐに処理できない場合は、折って集めたそのままの状態で新聞紙などで包み、冷蔵庫で2日程を限度に。
    塩漬けは塩加減が強ければそれなりに保存が可能。 ジャムの場合は保存できるだけの砂糖を加え、殺菌処理したジャムポットなどに密閉し、冷暗所に保存します。 葉を利用する場合は乾燥保存が可能。

【薬用利用】
  • 中国では血行促進の他毒素を排出し、組織の再生を促すと言われ、葉と根に美肌作用があるとされ、漢方では根を煎じ肝炎、月経不順、黄疸、リウマチの水薬として用いられます。
    リウマチの痛みを和らげる事から、和名の「イタドリ(痛取)」と名付けられたそうです。

  • この他、近年になって胃ガンに効果的な成分が含まれるという研究成果が出たのだとか。

  • また、根からは黄色の染料がとれます。

【料理への利用】
  • 春の柔らかい若芽を集め、葉を取り除き皮を剥いて2〜3cmに切り、砂糖を加えてやや置き、水気が出てきたところで煮込むと(砂糖との浸透圧でかなりの水分が出るので水は加えない)、酸味がありルバーブに似たジャムやコンポートが出来ます。 ただ、ルバーブよりも水分が多いので、仕上がりは全く同じにはなりません。
    この他、ルバーブ同様生のままサラダへの利用もできます。 酸味と、ちょっとえぐみが感じられる事もありますが。

  • 日本の地方によっては、春の若芽を上記ジャム同様に皮を剥いて塩漬けにする所もあり、春先、山へ釣りに出掛けた際、釣り竿を放り出して川沿いで大量に採集している人を幾度か目にしました。
    彼等の話では全て塩漬け用で、ジャムやコンポートといった使い方は知らなかったようです。




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