キバナノクリンザクラ

サクラソウ科:多年草
学名:Primula veris
仏名:Primevère officinale(プリムヴェール・オフィスィナル)
英名:Cowslip(カウスリップ)

【概要】
  • 利用部位:主に花、及びガク、希に葉、薬用は主に根と花
  • 庭の花として日本でもヨーロッパでも人気の高いサクラソウ(そちらは薬草とはされていません)と同じ類で葉はよく似ていて、ほうれん草のように一株まとまって生えます。 葉の丈は10cm程迄、花柄は20cm程になるものもあります。
    生息地は森や林の縁、道路沿い、畑の縁など。 写真の撮影は山羊チーズで有名なSaint-Maure de Touraine:サント・モール・ドゥ・トゥーレーヌ近くの麦畑の間のあぜ道にて。 ワラビや茸採りに出掛けるChinon:シノンの森の縁にもそこら中に生えています。
    花期は春(撮影は2003年4月始め)、早い年は3月末頃から、一般には4月初旬〜中旬にかけて。 花びらはとても小さく、しっかり開いても直径1cm前後。ひとつの株から1〜6本ほどの花柄が伸び、その先に1.5〜2cm程の淡い黄緑色のガクを持った明るい黄色からオレンジがかった黄色の小さな花を8〜12個程まとめて付けます。 この花はお庭で親しむサクラソウと異なり、鈴なりにうつむき加減につきます。

  • ヨーロッパでは12世紀頃から薬草として、ことにメランコリーに効果があると言われ、天国への鍵とも呼ばれていたのだとか。
    あるイギリスの植物図鑑によれば花には香りがあるとの事、しかし私の知る限り殆ど香りません。
    しかし、フランスある薬草図鑑によればビールやワイン、お茶に「他に類を見ない香り」を添えるとの記述もあり、試してみる価値はありそうです(そのうち試してみようと思っています)。

  • 和名の「キバナクリンザクラ」は漢字にすると「黄花九輪桜」、黄色いサクラソウ科の花が九つまとまって咲く事から来ているのでしょう。
    ラテン語から来る学名でもある「primula」は「さくら草」のことで、春最初に咲く花である事から来ているようです。
    ちなみに他の国では・・・ デンマーク名:Hulkravet Kodriver、、フィンランド名:Keväesikko(Kevaesikko)、ドイツ名:Echte Schlüßelblume(schlubelblume)、ノルウェー名:Marinokleblom


↑ 近所に春咲くPrimevère


【栽培・採集時期と保存】
  • 庭で鑑賞するお花ではないので、フランスでは一般的には栽培はしません。 野山で採集する場合は、群生地で、必要な分だけ根っこごとやや大きめに土を掘り返し、根を傷めないように採って来てプランタか地植えにしましょう。 陽当たりを好みます。
    自然界から採集して来る時は、掘り返した穴はきちんと埋める事。 僅かしか生えていない所でありったけ採るような事はしないこと、これはキッチリ守りましょう。 それができなければ自然界から分けて貰う資格はありません!
  • 花のティーを作る時は、ガクごと花を採集し、汚れや虫などを丁寧により分けてからガクを除いて黄色い花のみを網などに広げて風通しの良いところで陰干し、又は極低温のオーブンで天板にキッチンペーパーなどを敷いた上に並べてじっくりと1時間程かけて乾燥させます。 花や葉など植物の一部を採集する時も、1株からありったけを採るのではなく、少しずつ色んな株から採集し、株を絶やさぬよう気配りを忘れずに。
  • 若い葉は丁寧に洗って生のままサラダにもできるらしいです。
【お料理への利用】
  • 私は使った事がないので経験談ではありませんが、上記の通りお花をドライにしてハーブティーにしたり、生の若い葉をサラダに入れても良いそうです。
  • その他、花をリンゴジャムなどに加えたり、色を生かしてお菓子の飾り用の砂糖漬けにも活用できます。
【薬効など】
  • 花弁には鎮静作用、お肌の老化を遅らせる作用、お花のティーは風や頭痛の鎮静、神経、咳、リューマチを静める作用があると言われています。
  • また、根には去痰(タンを切る)作用があり喘息にも効果があるのだとか。 ただしどのように利用するのか、根についてはよく分かりません。




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