更新日 mise en ligne le 7 février 2005
remise en page le 18 mars 2012
ガレット・デ・ロワ Galette des rois |
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浮き足立つのはお正月よりもクリスマスの比重が圧倒的に高いフランスですが、年明け早々に皆がこぞって飛びつくお菓子が「ガレット・デ・ロワ」です。 他の多くの事同様、「フランス」とは言っても地方によって違いがあり、ブリオッシュ生地をベースにフルーツの砂糖漬けをあしらったガレット・デ・ロワもあるのですが(スペインにも似たようなものがあるそうです)、私が居るトゥーレーヌ辺りではもっぱら「フランジパン」の名もある、アーモンドクリームを仕込んだパイ。
どちらのタイプにも共通なのが、「フェーヴ」と呼ばれる小さな陶器のお人形(昔は豆を入れたこともあるそう)が中に忍ばせてあって、それが含まれた部分を得た人が、その日の王様になれるというおみくじゲーム付きであること。
本来はカトリックの「三王来朝」を祝うエピファニの祝い菓子とされていますが、現在では家族や職場の仲間内などで季節の風物詩として親しまれ、市販品を買うと大抵付いてくる黄金色のボール紙の王冠をかぶって意気揚々と過ごした後は、フェーヴを当てた人が「次のガレットを買ってくること」という皆嬉しい罰ゲーム付きだったりもして、延々1月いっぱいはそこら中のパン屋さんにこのパイが並んでいます。
※パイ生地作りをステップ分けして写真を添えた、「手順概要説明」ページを設けました。
「デザート・おやつ」の「タルト類」にリストしていますので、よく分からない方は参照してみて下さい。
材料 : 4〜6人分:直径22cm程
<パイ生地用>- 薄力・強力粉半々:200g
- バター1:50g
- バター2:50g
- 冷水:100cc程
- 打ち粉(強力粉推奨):少々
<アーモンドクリーム用> - バター:50g
- 砂糖:60g
- 玉子:2個
- アーモンドプードル:100g
- 小麦粉:大さじ1半
<必要な道具(目安)>
・ボウル
・めん棒
・ゴムべら
・泡立て器(手動)
・クッキングシート
無ければアルミホイル
<賞味期限>
冷蔵庫で3〜4日
作り方
- アーモンドクリームを作る
アーモンドプードルと小麦粉を、カフェオレボウルなどに混ぜておく
ボウルに分量のバターを刻んで入れて常温で柔らかくし、砂糖を加え、バターが少し白っぽくなるまですり混ぜる
湯煎で溶かす場合には温度を低めにしておき、完全に溶かさずに、柔らかくなり始めたところで湯煎から外して、砂糖を加えてすり混ぜながら、少し温まった器の余熱で溶かすようにする(バターを完全に溶かしてしまうと、砂糖とすり混ぜた際にバターに空気を含ませることが出来ないため)
- 玉子を1つずつ割入れては混ぜ、すっかり混ざったら、小麦粉と混ぜたアーモンドプードル半量を加え混ぜ、残りも加えて混ぜ合わせる
そのままラップをかけて、又は1〜2晩保存できるのでその場合は密閉容器に移して(ゴムべらで丁寧に集めて全て移しましょう)、冷蔵庫で最低1時間は休ませる
- 折りパイ生地を作る
ボウルに粉をふるい入れ、冷たいバター半量を5mm角に刻んで菜箸などで粉と混ぜる
角切りバターに粉がまぶされば良い
- 3の中央に溝を作り、冷水を最初はやや控えめに注ぎ、菜箸で溝の縁を崩しながら混ぜ合わせる
水が足りないようなら少し加え、逆に万が一水気が多すぎるようなら粉少量を追加する
あらかた混ざったら手で生地を集め、生地を温めないように手早くひとまとめにし、作業台に打ち粉少々を振って、生地を10cm×20cm程にのす
- 伸した生地を3つ折りにし(長さを横に生地を置いたとして、その左右を真ん中に折り畳むようにして)、再び同じ程度のサイズにのしてまた3つ折りにした後、ラップで包んで冷蔵庫で30〜40分程休ませる
- 冷たいバター残り50gを薄切りにする
休ませた生地を取り出し、今度は20cmの正方形にのす
のした生地の四隅を中心に畳めるように薄切りのバターを並べ、四隅を中心に向かって、バターを包み込むように畳んだ後、合わせ目からバターがはみ出さないようにピッタリ抑えて、一方向に伸してまた長方形にする
これを5と同じ要領で3つ折りにして、再びラップで包んで冷蔵庫で30〜40分休ませる
- <形成>
オーブンを180度に熱しておく
6の生地をもう一度のして同じく3つ折りにした後、ナイフで2つに切り分ける
各々を22〜24cmの円形になるようめん棒でのす向きを調整しながら厚さ5mm程にのばす
1枚を天板に敷いたオーブンペーパーに乗せ、縁2cm弱を残し、先に作って休ませておいたアーモンドクリームを広げる(スプーンとゴムベラを駆使すればOK。 こだわるなら絞り出しを使っても良い:フェーヴを仕込むならここで)
残しておいた縁部分(これが“のりしろ”になる)に溶き卵をまんべんなく塗り、もう一枚のパイ生地を被せ、縁をごく軽く手で抑えて張り合わせ、はみ出した生地をパイカッターか、無ければナイフで切り取って丸いパイにする
- ナイフの先端で上面に放射線状や木の葉形など好みにラインを入れ、溶き卵をまんべんなく塗り、温めておいたオーブン中段で40分程、ふんわりとパイ生地がふくらみ、上面がこんがりと黄金色に焼き色が付くまで焼く
焼き上がったらオーブンから取り出してあら熱をとり、やや暖かいうちに(またはすっかり冷めてから)召し上がれ
※ほんのり暖かい程度に冷めれば、パイ生地はすっかりパリッとします。
完全に冷ました後に、万が一お部屋の湿度(特にフランスは冬に湿度が高いので)などでパイのパリパリ感に欠けるようなら、さっとオーブンやオーブントースターであぶると良いです。
その際は必ず先にオーブンを温めてから焼きましょう。 さもないと乾燥しすぎてしまう恐れがあります。
※もしも陶器製あるいは近年増えている耐熱プラスティック製等のフェーヴをお持ちで仕込みたい場合には、アーモンドクリームを広げる時にクリームの中にそっと埋めこみます。
来客用に作って、例えば子供を迎えるので必ずその子を王様(女王様)にしてあげたい というような時は、クリームを仕込んだ部分が分かるように、いかにも!とはならないけれど作り手には分かるよう、仕上げに上面にナイフで飾りの切り込みを入れる時にそっとマークしておくと良いですよ。
焼きムラ(上の写真は、実は玉子の塗りがいい加減でムラが出ています)でどこだか分からなくなる可能性もあるので、縁にチョコッと切り込みを入れておくのも良いです。 なるべく目立たないようにね。
※お砂糖の量を見ても想像がつくと思いますが甘味はさほど強くしていません。 この分量で6人に分けたくらいで丁度良いと思いますが、大食漢なら4人分かも?