更新日 mise en ligne le 14 avril 2004
remise en page le 18 mars 2012
フランスのパン・パティスリー店では定番中の定番のひとつ、“フラン”。
フランというとプリンのようなものを示すこともあるのですが(クレーム・ロンヴェルセ:Crème renverséeが一般的)、こちらはタルトの一種です。 ファーブルトンやフラムッス、クラフーティといった、やや重ためのクレープのような生地を厚く焼き上げたお菓子はフランス各地に様々あり、このフランもそれらに近くて、生地には色々な配合や作り方があります。
別な、もう少しモッチリとした質感に仕上がるレシピも用意していますが、パン・パティスリー店風はどちらかというとこちらのレシピが近く、仏語名には「Flan parisien:フラン・パリズィヤン」の名もあります。
ここでは私の好みでオレンジ風味のコアントローを加えています。 他にもラム酒やオレンジ花水、アーモンドエッセンス、レーズン(ラム酒に1週間程漬け込んだものも美味)を加えるなど、お好み次第で色々なヴァリエーションも楽しめますよ。
フランスのパン・パティスリー店で売っているフランは、かなり丈が高く、日本サイズを基準にして見ると1切れで2人分になりそうなボリュームたっぷり。 焼くのに時間がかかるので、タルト型を使うより心持ち丈が高いかな、という程度に仕上がるよう、ケーキ型を使っています(タルト型しか無ければそれでも構いません)。
材料 : 6〜8人分
<ブリゼ生地>- 薄力・強力粉半々:180g
- 三温糖など:大さじ1
- バター:70g
- 玉子:1個
- 水又はミルク:大さじ3程
- 打ち粉(強力粉):適宜
<アパレイユ> - 玉子:4個
- 砂糖:180g
- ミルク:300cc
- 生クリーム:300cc
- 小麦粉:70g
- コーンスターチ:30g
- ヴァニラエッセンス:少々
- コアントロー:大さじ2
- 細粒塩:指2本で2つまみ
<必要な道具(目安)>
・ホイッパー(手動)
・ゴムべら
・中サイズの鍋
・ボウル
・めん棒
・直径22〜24cmのケーキ型
<賞味期限>
冷蔵庫で4日程
作り方
- ブリゼ生地を用意する:3ステップ
ボウルに粉と砂糖をふるい入れる
バターをスライスして加え、粉をまぶして指先ですりつぶしながらバターの塊を無くす
中央に溝を作り、玉子を落としてまず水かミルク大さじ2杯弱を加えて菜箸で全体に大雑把に混ぜる
水分が足りなければ、様子を見ながら少し水かミルクを加え、生地がまとまったら手で押して少し平たくして3〜4回折り畳んだ後、作業台に軽く打ち粉をしてめん棒でのす
- 普通のタルト型よりも少し丈の高い丸型を用意し、指先をさっと水にくぐらせて側面を撫でる(丈が高い分、生地を空焼きした時に側面が剥がれやすくなるので、生地を固定するため)
伸した生地を型の上にフワリと乗せ、中央から、生地を引っ張らないように慎重に型に固定して行く
側面の余分な生地を切り落とし、生地に沿うようにラップを貼り付けて30分、涼しい所で休ませる
- オーブンを180度に温めた後、2のタルト生地を空焼きする
10分弱、生地の表面が乾いたようになればOK
オーブンから取り出して冷ましておく
- オーブンに再び余熱を入れておく
アパレイユを用意する
鍋をさっと水にくぐらせて水気を振り落とし(焦げ付き防止)、ミルク、次いで生クリームを入れて火に掛ける
その間にボウルに玉子を割り入れ、砂糖を加えてよくすり混ぜ、コアントローとヴァニラも加え混ぜる
粉とコーンスターチをあわせてふるい、2〜3度に分けてボウルに加え、泡立て器で混ぜ合わせる
鍋のミルクとクリームが沸騰する直前、湯気がふわりと立ち上るくらいになったら火からおろし、ボウルに少しづつ全て注ぎ混ぜる
- 空焼きしておいたタルト型に、4のアパレイユをそっと全て注ぎ込んで(タルト生地の縁から溢れないように)、温めておいたオーブン180〜200度程で30〜40分(オーブンによる)焼く
焼き上がったらオーブンの火を止め、取り出して冷まし、常温或いは冷やして召し上がれ
※砂糖は、グラニュー糖でも三温糖、上白糖などからお好みのものをチョイス。 色を気にしないなら、カソナードでも美味しいです。
冷やしても美味しく味わえるよう、お砂糖は180gとたっぷりめに加えています。 甘味控えめにしたかったら150g位に減らしても良いかと思いますが、「お菓子」として甘めに仕上げて控えめに味わうのも良いものですよ。
※上火が強くて早々に焦げ目が付いてしまう場合は、うっすら色づいたところでアルミホイルをかぶせて保護しましょう
※焼き上がりの確認は以下の3つの方法があります:
・揺すってみてフニャフニャせずアパレイユがしっかりしている
・揺すって少し揺れるような気がする場合は、中央をそっと指の腹で押してみて、軽い弾力があればOK(押しすぎないこと)
・ナイフの刃先を中心に刺してみて、抜いた時に何も付いて来なければOK
※上にも書いたように、コアントロー(又はグラン・マルニエでも)やラム酒の他にも、レモンやオレンジの皮(無農薬・ノーワックス)のすり下ろしで香りを添えても美味しいですよ。
※ヴァニラのサヤを使う時は、先にミルクに浸してそっと温めて、サヤがふやけたら取り出し、ナイフの先でこそいで種の粒だけをミルクに加えます。
※冷蔵庫に入れる時は、しっかりとラップで覆っておきましょう。 庫内の匂いを吸収しやすいので要注意です。
頂いたご意見
●2004/4月 あまがえるさん(ゲストブックにて)
(パリのポワラーヌのようなフランをお家で実現されたいとのことで)
念願のフランを作ることができましたので、ご報告さしあげたいと思います。
パートブリゼの粉は、フランスのテロワールを。バターは発酵バターを、と、できるかぎり良い素材をそろえて、つくりました。2種類とも作ったのですが、TOMATO様の仰ったとおり、「お店風」のフランの方が食感が似ていました。どちらのレシピも、甲乙つけがたい美味しさでした。けっこう、ずっしりとしていて、食べごたえ充分ですね!朝食として、おやつとして、おいしくいただいております。主人も、大変よろこんでおりました!
本当に、ありがとうございました。まずは、お礼まで。