マダムTOMATOの“グルメ・ガーデン”
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365のチーズ


Appenzeller アッペンツェラー

    
AOC:-
半硬質ウォッシュタイプ
形状:低い円柱大型
熟成期間:6〜8ヶ月
重量:6〜8kg
サイズ:直径30〜33cm、高さ8cm
主生産地:スイス、アッペンツェル山脈
MG:48%

Beaujolais、Côte du Rhoneなどの類のフルーティーな赤ワイン

こちらはフランスではなくスイス産のやや大型半硬質チーズ。
その名が示す通り、生産地方はスイスのThurgovieとSt Gallなる両地方それぞれを含むアッペンツェル圏(県かな?)との情報を得たのですが・・・ スイスの地区区切りや地方に関して詳しく無いので、極細かい点については不明です。 上のミニ地図では右上のくぼみの上辺り。 
8世紀頃から同地方で作られており、今日も産地ではとても誇る特産物で、このチーズにささげられたミュージアムまであるのだとか。

原料は牛生乳、生地は圧縮半加熱され、表皮は“Sulz(スュルズと読むのでしょうか?)”と呼ばれる特殊な液体でこすり洗いされます。
このSulzなる液がこのチーズ作りの特徴的な点で、白ワインに山の香草を加えて作られ、その液の製法は昔から生産者の間で頑なに秘密とされています。
製法は全課程で大型機械が利用されますが、概要は以下の通り。

  1. 生乳、つまり非加熱のミルクを原料とし、搾乳後18時間以内にこれを桶(直径数メートルあろうかという大きな大きな鍋のようなもの)にあける。
  2. 桶に集めてるのはその18時間以内は守られるものの、前日のミルク、朝及び晩のミルクが加えられる事もある。  それらミルクの温度を均一にし、ミルクを凝固させる乳酸酵素を混ぜる
  3. 約半時間後、ミルクは凝固するのでこれを専用の凝乳カッター(桶中心を軸に、フォークのようにいくつものカッターが飛び出した回転式の機械)で切り、含まれるホエー(乳清)と分ける。 この際、エメンタールやグリュイエールチーズ同様に40度程に温めてホエーの浸出を促す(このため半加熱チーズとなる)
  4. 型詰め:完成するチーズよりもふたまわり程大きな型に凝乳を入れる。
  5. プレス:それぞれのチーズに均一に圧がかかるよう機械で圧をかけ、これにより凝乳に混じるホエーがにじみ出る。 また、この段階でカゼインと呼ばれるこのチーズの鑑札がチーズ上面に貼り付けられる。 製造年月日も同様。
  6. 添塩:型から出したまだ白いチーズに塩を加える。
    塩を添加する事により、殺菌作用、生地の湿度調整、外皮が出来る、味わいを引き立たせるというチーズの美味しさに重要な要素が加わる。 その方法は、丸一日、塩を溶かし込んだ塩水に浸される。
  7. 熟成:全てのフロマージュ(チーズ)同様、ここでも熟成庫の温度と湿度が重要、サイズによって3〜8ヶ月と幅があるものの、いずれのタイプもSulzと呼ばれる特殊な液体(上記参照)でこすられ、やがて濃いオレンジ茶に色づく。
このチーズには厳密にはいくつかのタイプがあります。
  • アッペンツェラー・クラシックClassic:熟成頂点3〜4ヶ月、繊細な味わい
  • アッペンツェラー・スュルショワSurchoix:上記よりも熟成長めの4〜6ヶ月、やや濃い味わい
  • アッペンツェラー・エクストラExtra:同チーズの中でも選りすぐりのものを集めて最低6ヶ月は熟成させたもので、風味に満ち深い味わい
  • アッペンツェラー・ビオBIO:近頃流行のBIO、スイスでの規定がどういったレベルなのかがよく分からないのですが、牛がはむ草やその他飼料から厳選され、添加物なども厳しいコントロールの元作られるもの
  • アッペンツェラー・キャール・グラQuart-Gras:「1/4脂肪」という名だけあって、でもちっとも1/4ではないのですが、低脂肪タイプ。 味わいは穏やか(らしいです)。

    形は上下は真っ平ら、側面が僅かに膨らんでいます。
    外皮はしっかりとしていてオレンジ茶色、生地はキメ細かく、淡いクリームイエロー、所々に胡椒粒程度の小さな気泡があります。


    TOMATOより:同じスイスやフランスのグリュイエール、エメンタールなどの似たタイプのチーズに比べると、味わい香り共にやや強めです。
    熟成した深い味わい、しっかり均一に効いた塩分、食べ応えある大型チーズ。 クセのあるチーズが苦手な人にはお勧めしません。 ただし熟成が若いうちはそうした方でもアクセス可能でしょう。 熟成期間が半年近くなると、古くなったリンゴのような香りが遠くに感じられる・・・ なんて言っても感覚は伝わらないかな。
    生産は機械化された面が多いものの、スイスのチーズにしては(とは私の少なからぬ偏見混じりですのであしからず)なかなか美味。
    ちなみに私はチーズに関しては基本的に「低脂肪」や「BIO」には一切手を出しません。 いずれも近年の流行に合わせて作り出されてもので、ダイエット中なら一度に食べる量を減らし、1日に食べる回数も減らしたとしてもどうせ食べるなら美味しい、昔ながらの“本物のチーズ”を味わうほうがずっと嬉しいから。 BIOに関しては必ずしも良くない品質であるとは限らないものの、やはりこれも不自然で、しかも完成したチーズの殆どは工場での大量生産チーズ以下の味わいだったりするので、例え選りすぐりの原料を使ったところで不自然であったりするからです。
    どちらも好きずきで、脂肪分摂取を控えるために低脂肪を選ぶのが必ずしも悪いわけではありません。 好みの問題。
    2003年1月4日






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