マダムTOMATOの“グルメ・ガーデン”
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365のチーズ


Mont d'Or モン・ドール
Vacherin ヴァシュラン

  
AOC:1981年3月24日
軟質熟成カビタイプ 木枠付低い円柱型
熟成期間:産地内で最低21日間
重量:サイズ様々、箱含め480g、1.3kg、2kg、3.2kg
サイズ:
主生産地:フランシュ・コンテ地方
MG:45%

JuraやArboisの赤・白、Juraconのドライ、ボージョレ(季節的にヌヴォーもOK)、Savoieの白など

原料は牛乳、非加熱、型詰めの際僅かに圧され、外周にはモミの木の一種を薄く削いだ木枠がはめられ、更に同じ木の丸い箱に納められます。 この箱も含めて初めて「モン・ドール」の名を背負うに値する規定に合格するのだそうです。
製造は上記産地内であるのに加え、スイス国境の山中標高700m以上のsource du Doubs et le saut du Doubsの間の土地でのみ製造、熟成が許されています。
最も古い記録によると18世紀のものが残っていますが、起源はもっと古く、ドーブ山脈にある修道院が発祥だと言われています。
秋が深まり、モン・ドール(山)に初雪が降る頃、標高の高い山で放牧された牛がそこまで降りてきます。 そこで、グリュイエールを作るのに必用なミルクの量がとてつもなく減ってしまい、もっと小さなチーズを作らざるを得なくなってしまいます。 そこで生まれたのがこのモン・ドール、山の名がそのままチーズの名になっています。

かつては「ボエットのチーズFromages de boete」「クリームのチーズ:Fromages de creme」と呼ばれていました。 ここから、オート・ボワの名が。

製造は時期が限られており、8月15日から3月31日まで。 古くからの伝統を守り、山の春と夏を避けて行われます。
原料の牛乳にも規定があり、牛の種類はモンベリアルド種に限られています。
Presureの助けを借りて得た凝乳を型詰め水切りし、型から出して木枠に納めます。 カーヴ(貯蔵・熟成庫)で21日間、やはりモミの板の上で熟成。 その間チーズは度々ひっくり返され、定期的に塩水で表面が洗われます。

こうした熟成の後、木枠ごと同じ木の薄板でできた箱に詰められ、その中でも更に熟成は続きます。
消費者への販売は、上記の通り製造期間が限られるのに伴い、9月10日から5月10日までという期限付き販売。

表皮(上面)は淡いイエローからオレンジ色で毛足の短いカビに覆われ、ゆるく波打つように幅広いシワが寄っています。
生地はクリーム色がかった白、熟成が進むととてもクリーミーになり、とろりととろけ出します。

サイズが小さなタイプは1個売りもしますが、チーズ屋さん店頭では直径の大きなものは木箱から出し、木枠ごとカットして量り売りしてもらえます。


TOMATOより:写真はフェルミエ製を近所のマルシェのチーズ屋さんにて購入。 直径22cm程ありそうでした(計るのを忘れてしまいました)。
いかにも匂いの強そうなクリーミーなチーズという印象だったのに、熟成のかなり進んだものではなく、売り手のすぐ近くにあったもう1個のモン・ドールを切ってくれて、熟成具合は今ひとつ中途半端、あまり質の良い出来ではなかったのが残念。
いずれにせよ本来のモン・ドールは、さほど癖の強いチーズではありません。 その点では私にはちょっと拍子抜け というのがこのチーズを初めて食べた時の第一印象でした。 “見たとき”の第一印象に期待しすぎたのがいけなかったのでしょう。
何よりも特徴的なのは、とろりと流れるようなクリーミーな柔らかさ。 味わいも香りもマイルド、ただ、周囲の薄いモミの木の一種の針葉樹独特の香りが移った外周の風味は面白いです。 ちょっと鼻を突くくらい強く感じられる場合もあります。
いっそ贅沢に、丸ごとオーブンで温めて、チーズフォンデュのように串の先にパンや茹でジャガを刺してからめて食べたら美味しそう・・・ 小さなサイズはスプーンで食べます(ヴァシュランの欄参照)。
また、中心までしっかりと熟成が進むと、切り口からトロ〜ンととろけだして来るので、チーズ屋さんのアドヴァイスによれば購入して帰った後一旦包みを開いたら、残りはラムカンなどに入れておいてクリーム状のものを楽しむと良いです。

2003年3月18日



小型タイプ。 完熟トロトロまであともうちょっと。

かなりとろけたもの(晩秋、マルシェで買って来たばかりの冷たい状態。この後室温でトロトロに)

かなり若め。

この位にとろけたのが一番! 勿論常温にしてこの状態。





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