マダムTOMATOの“グルメ・ガーデン”
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365のチーズ


Port Salut ポール・サリュー

  
AOC:なし
タイプ:非加熱プレス・軟質、円盤型
熟成期間:1ヶ月
重量:約1,5kg程
サイズ:直径約20cm、高さ約4cm程
主生産地:ペイ・ドゥ・ラ・ロワール
MG:50%


フルーティーな赤、軽めの赤

マイエンヌ(Mayenne:ペイ・ドゥ・ラ・ロワール圏)で作られる牛殺菌乳製チーズ。
元は1812年創設のPort du Salut:ポール・デュ・サリューという名の僧院が自給自足を目指して開発したもの。 僧侶達は僧院所有の農家にて牛を育て自らの食料として作り、やがてそれが僧院製チーズとして売り出されるようになりました。
製法が安定するまでにやや時間がかかったものの、やがてそのまろやかな味わいはパリでも人気が高まったのはそれから40年ほど後のこと。 その成功をひっさげて僧侶達はフランス各地、次いでアメリカ、カナダへと渡ってチーズ製造と共に僧院を広げて行ったのだとか。
そうした背景からなのでしょう、北フランス、ベルギーのみならずカナダのフランス語圏(ケベック)にも似たようなチーズが数々あり、フランス国内及びベルギーでは異なる名でこの製法を受け継いだ数々のチーズが作られています。 ところがカナダは恐らく名称使用権に関する法律が異なるためなのでしょう、「ポール・サリュー」の名で販売されている100%ケベック産チーズがあります。

戦後誕生したよく似た質感の「Saint Paulin」は、この製法をそっくり真似て作られたもの。 しかしポール・サリューという名の使用権が無いため別名にて販売されています。
また、別に「Port du Salut:ポール・ドゥ・サリュー」という僧院の名そのままのチーズも今は別にあり、サイズは直径10cm、高さ4cm、重さ300g程の小さめなタイプ。別名はEntrammes。


TOMATOより:もっちりとした弾力のある、とてもマイルドな味わいのチーズです。
軽い酸味、こってりしすぎないミルクの優しい甘味、口に含むとひんやりして舌にすいつくようななめらかな生地。
塩味は舌に辛さを感じないものの、案外効いています。
食後のチーズプレートの一員として並べるのも良いけれど、薄切りパンに乗せてトーストしたり、グラタンやソースなどお料理への利用も幅広そうです。

2003年5月19日







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